四人の公王のにっき。

ついに4つ目を手に入れたので四人の公王になりました。色々書き綴るだけです。

最後の灯継ぎ

ヒトの生命は、よく炎に例えられる。

 

「命の灯火」なんてのはその最たる例だろう。

 

火というものは、美しい。

 

では火に例えられる人間の生命もまた美しいのだろうか。

 

おそらく、違う。

 

美しいのは、散る命だ。

 

命というのは、散るからこそ美しく思えるのだ。

 

では。

 

どうしようもなく無能で、怠惰で、臆病な人間の命だとしても。

 

どうしようもないほど、無価値な命だとしても。

 

どうしようもないほど、この世に生きる資格を有さない命だとしても。

 

散るというのならば、それは美しいのだろうか。

 

 

 

我々人は、あたかも薪をくべ火を灯し続けるように、日々を生きている。

 

だが、僕の薪はもう、薪としての役割を果たさない。

 

我々は、魂という薪を燃やし、生きている。

 

つまり、魂が薪に相応しければ相応しいほど、火は強くなり、

 

それは即ち、「善い人間」を形作るものとなる。

 

 

では、魂が薪に相応しくなければ?

 

火は陰り、魂は腐り落ちる。

 

火の中に、湿った薪を入れるようなものだ。

 

 

僕という火の運命は既に定まっている。

 

さぁ、最後の火継ぎを始めよう。

 

灯のためではなく、闇の為の火継ぎを。